響演

 あるスタッフがある一点をみつめたままいるので、不思議に思い、その視線の先に目を向けると、お客様が服を選ばれている姿があった。

 初めのうち、そのスタッフは声をかけようとしていたが、あまりに熱心にジャケットを何度も取り替え、鏡の前で眺めておられていた為、敢えて何も言わなかった。しかし30分近く、お客様はその動作を繰り返されていたので、我慢できずに、サイズを尋ね、「試着されたら如何ですか?」ともアドバイスをしていた。

 その後もしばらく、ずっと鏡の前に立ち、ひとりで試行錯誤されていたが、スタッフの「どのタイプのジャケットにされるか、決まりましたか?」との言葉に、「このジャケットを下さい!」とお客様がきっぱり言われた。それを聞いたそのスタッフはよほどうれしかったのか、「ありがとうございます!」を連発して言っていた。

 色んな買い方、見方をするお客様がおられる事を学べた一日だった。

 

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