VALUE CREATORS

 組織も時代の子。その時々の流れに逆らう事はできない。一時的にその組織内の文化を維持する為に、周りの環境とは異なる価値観で既存の組織内文化を守ろうとしても、いずれ崩壊する。そのまま、倒産するか、売上低迷の中でリーダーが交代するかであろう。ただ、規制業種の場合、例えば、銀行がかってそうであった様に、一時的には延命する事ができるが、そのパワーの源泉となった資金とルールが透明化になれば、大きな再編を余儀なくされるのは時間の問題。

 建物について考えてみよう。かっての箱もの行政時代は、どのような建築プロセスであったろうか?まず、予算ありき、そして施工会社ありき。つまり、器が先に存在し、それがある程度、完成した後で、その細部を詰める過程の中で、初めてその空間を利用する「人」が認識されていたのではないだろうか?かってある有名な高層建築に関わった設計士とお話をする機会を持った事がある。彼曰く、「先に動線からはいりました。」とのこと。つまり、最初にその高層建築のオーナーにその建物で何をしたいのか、どのようなサービスをするつもりか、をインタビューしたと言われていた。これはその時の主流であった「ハード志向」と対極的であった、「ソフト志向」というべきものだった。この話を伺った時に、自分の中にあった「モヤモヤ感」が払拭された思いだった。なにしろ、その当時、箱ものによって「家族郎党」を維持する為に、中央から予算をとってくる事が一番大事だと当たり前の様にささやかれていた時代であり、しかし、サービス業の中で自身のソフトに対して誇りを持っていた自分は、そんな「ハード志向」の考え方にかなり違和を感じていたからだ。

 別な観点から見てみよう。組織も建物も例えれば、サービス提供マシーン。でもそれだけでは動く訳がなく、当然サービスを効果的、効率的に「消費者」にメッセージを発信する「伝道者」が必要であり、そんな彼らを通じて手渡された「サービス」を仲介して、「消費者」に意味のある「VALUE」が届けられ、消費者満足を得ることが出来る。またそこには、そんな「伝道者」と「消費者」との歯車を上手に噛み合わせる「場(仕組み)」も必要であり、これらの「伝道者」、「仕組み」、「ハード」が一体となり、共鳴し合った時に初めて、組織の創始者が目指した「ミッション」を実現するサービスに一歩近づくのであろう。

 しかし現状はBACKOFFICEにいる「サポーター」とFRONTOFFICEに駐在する「伝道者」との方向性が必ずしも一致しているとは言いがたく、組織や地域内のメンバーの意識はどうも三層に分かれているらしい。つまり、右肩上がり時代を経験し、一定のフレームワーク内で一定の資源を分配する文化を当然視する層と、多様化したフレームワークが存在する社会を是とし、自らそれを創り出そうとしている層、そしてそんな両者の間で漂って道を模索している層の3層である。このようなずれがある限り、それぞれの組織や地域がVALUEとなるサービスやモノを提供できないであろうし、従って外部からの組織内・地域内へのキャッシュインは難しい。

 「消費者」は気まぐれ。お気に入りには、それがどこにあろうとお出かけをしたりして、入手する為に時間とお金をかけるが、嫌いなもの、興味関心のないものには、とにかくコストバスターズを提供者に求める。コストバスターズに答え、しかも一定の利益を確保する為には、一定規模以上の「売上」が必要となる。つまり、売上=数*単価の内、「数」を増やす必要がある。そうなれば、やはり、「資本規模」が大きい、大企業や大都市が有利になるのは必然である。
 一般的に「消費行動パターン」は行政区分内に限定されない。夕張市が何故、「倒産」してしまったのか?それは、一言で言えば、域外からのキャッシュインがより少なかったから。域内に「域外からの顧客」を呼び込むだけの価格要素以外のVALUEが存在せず、キャッシュインーキャッシュアウトがマイナスになった為。日本国の様に、エネルギー源を外国に頼っている国は、どれだけ自給自足を地域内で心がけたところで、必ず地域外へのキャッシュアウトが発生するものであり、外国との貿易同様、他地域との交易は必須なのである。そしてその交易商品が、コストバスターズ商品なのか、VALUEのある「ブランド」商品なのかにより、その地域内に滞留している貨幣量の多寡が決まり、それが結果として、各自の平均的なフローの量に比例してくる。

 VALUEを創るのは、やはり人。でも単なる人ではなく、固い言葉で言えば、内発的動機を自らにパターン化し、しかもSKILLの高い人材が必要なのだろう。だが地域によっては、そこにある「空気」の為にそんな人材が枯渇して、「資源の調達」をしたくても困難な場合があるかもしれない。新たなリーダーシップと知恵出しが必要な場面であろう。

 

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