邂逅

Eさんは一人で、すべての責任を負うことも覚悟している。彼は信用できる、彼とならばこの問題は解決できるって、その時確信できたんです。

 俗に「男が男に惚れる」という言葉がある。これは何も男という言葉に限定する必要はないのかもしれないが、要するに、自らの責任でリスクを背負い、誠実に、そして真剣に、目の前の人間と関係構築をしようとする時に、感じるものなのだろう。特に利害が互いに相反している時は、ややもすると、言い訳や逃げ口上になりがちで、思わず口をついて出がちで、よく後で「しまった」と後悔する事がある。しかし、そうではなく、相手から真正面から取組もうとする姿勢が見られた時、そこに「美意識」を感じ、とことんまで信じきってしまう。

 以前、営業相手の方にそれを感じた場面があった。多分、相手方の社内事情では、無理だろうなと思いながらも、その条件を満たさないと良い仕事は難しいだろうなという局面で、敢えて口に出したところ、快諾を得た事があった。逆にそれを聞いたとき、「本当に社内調整は大丈夫かな」と心配したほどであった。しかし、結局、最後まで約束を守ってくれた。その方との関係が終了した今でも、その事に感謝し、思い出深い出来事となっている。

 相手が誰であれ、自らが計算し続ける限り、相手も同様に計算し続ける。そしてお互いが「計算できる」関係になる。もちろん、自らがリスクを背負ったからと言って、相手も背負ってくれるとは限らず、場合によっては裏切られる事もあるかもしれない。しかし、少なくも相手と「計算できない」関係を構築したければ、どこかで自らが先に「計算できない」言動をしていくしか方法がないだろう。