五感

頭で考えたホスピタリティ的な解説本がおおいような気がします。

    


“おばけのバーバパパ”
アネット=チゾン他(作)

“The ABC’s of Hospitality Management”, Fmp Howard Cutson (著)

 最初この「おばけのバーバパパ」を読んだとき、どうも分からなかった。「何故?」の連続だった。話の展開があまりにも急すぎる様に感じられたからだ。この物語は

 ある時、バーバパパが庭で生まれ、そこの子供フランソワとすぐ仲良しになったけど、おかあさんが「大きいから」という理由で動物園に入れる。その後、勝手に抜け出して、園長先生に怒られたけど、火事やヒョウが街を歩き回っていた時に皆を助けて人気者になり、おとうさんおかあさんも大喜びで一緒に住む様になりました。

 という流れになっている。「大きいから」動物園に連れて行かれ、人を助けて人気者になったから、「おとうさんも おかあさんも おおよろこび」。そして最後には「みんな・・・、たのしくなるのでした。」でエンディングを迎える。何か間に欠落して(或は意図的に欠落させて)いるものを感じた訳だ。

 もう一つの書籍”The ABC”の著者は27年間、”Restaurant Hospitality magagine”に関わり、ホスピタリティ産業について研究してきた。ここで彼は、様々な角度からこの産業のあり方についてエッセイーの形で取り上げている。その中で最も印象的だったのは、顧客は五感を使って、サービス評価をしているという箇所だった。目に見えないサービスを評価する時にありがちな顧客満足度という主観性の強い心でサービス測定をするのではなく、具体的な五感での評価基準を示した事が非常に新鮮であった。文献では簡易なものだったので、後日参考資料を郵送してもらったが、かなり具体的な評価項目が書き記されていた。

 さて、「おばけ・・」では何が欠落していると感じたのか?ここでの登場人物の大人たちは、”思考”の中でこのおばけを評価していたのではないだろうか?一方で子供たちは一緒に遊ぶ中で体験する心地良さという”感じ”で、評価していたのではないだろうか?この全く異なる基準の間で、お話が展開していた為に、どうも話の脈絡があわず、戸惑いを感じていた様に思う。そんな両者の違いというものがこの物語の背景にあり、それが何となく面白さを感じさせる、一つの要因になっている様な気がする。

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