第二ステージ

  Gyao の村上氏のインタビューを見ていると、プログラム作成する上で考慮すべき点として、キャスティング、企画、ファイナンスが あるそうだ。

 この3分類を既存のテレビとネットにあてはめて考えるなら、キャスティングをフロントラインやバックヤードでの人材配置(つまり番組での出演者と裏方を支えるスタッフ)、企画を シナリオと例えるなら、既存の TV 業界は、一方向性という特徴 を最大限生かせるような企画とキャスティングに関するノウハ ウを蓄積し、長い年月をかけて膨大なライブラリーを築き上げてきた。

 一方で、インターネットという双方向通信の世界で鍛えられたGyaoは、地上波と比較すると不十分なキャスティング力を補う為に企画力を磨き上げ、ここまで成長してきたと思える。例えるなら、放送番組のプログラムは一種の舞台演出であるのに対し、楽天の世界は観客の動向によって常にそのサービスが変化し続ける RPG の ようなものだろう。

 今までこの一方向性と双方向性は商業ベース的には、技術的理由によ り、交わる事がなかった。ところがブロードバンド、圧縮方法や光ファイ バーの技術的進歩により、インフラがますます以前より、低コストで敷 設される様になり、「電波」で送るデータ「有線」で送るデータの量の 差が小さくなった。そしてその結果、視聴者の目から見て、テレビとネット「テレビ」の差はなくなり、今や許認可の元で運営されていた地上波並びに衛星放送が放映していたプログラムとほとんど遜色のないものになった。

 一見するだけでは、これがネットテレビなのか、許認可テレビなのか区別がつかない状況の中では、それまで「動画」のストリーミング配信(放映)が独占的に認められてきた許認可テレビの視聴率やスポンサー収入に影響が出るのは必然であろう。一連の流れを見ていると、「イノベーションのジレンマ」のいう、当初はローテクの製品が低価格、低利益率で成長し、やがては高い技術を獲得するにつれ、それまでの伝統的な製品を打ち負かしていくという可能性さえあるのかなと思う事もある。さて、今やWeb2.0の世界のまっただ中、これからはどんなサービスを展開してくれるのか期待したい。

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