“ポケットのないカンガルー”
エミイ ペイン (著)
抱っこできない動物のこどもは小さい頃から、大人に遅れないように歩くのが上手、でも大人と比べて、歩くのがとても遅いのに抱っこしてもらえないカンガルーのケイティは、おかあさんといっしょに、とおくへいくことができません。
だって、おかあさんのおなかには他のカンガルーにあるようなポケットがないからです。そのことで、おかあさんもケイティもかなしい思いをしていました。そこでどうしたらいいか、他の動物たちにたずねてみましたが、結局みつからず。最後にものしりのふくろうさんの提案で、町にポケットを買いに行く事にしました。
そしておかあさん達が探している時に、町で出会ったやさしそうなおとこの人が、自分が着ていたポケットだらけのエプロンを、くれました。これからはケイティがおかあさんからおいてきぼりをされることもなく、更には他の動物の子供たちもケイティのおかあさんのポケットに入って、動くことができるのです。
子供たちがこの本を読む時、どう感じるのだろうか?どう考えても、カンガルーは抱っこできないし、おかあさんは足が速いし、でもケイティは足が遅い。あきらめるしかない?でもケイティもおかあさんも、あきらめなかった。そしてとうとうポケット付きのエプロンを発見し、ケイティのポケットができただけでなく、他のお友達のポケットもできちゃった。
大人でも同様だが、問題解決の為の資源が自分の範疇内にあることを前提に話を進めていると、物事に行き詰まる事がある。そんな時に、自分達と強い付き合いをしておらず、自分達と見方が異なった人に尋ねてみると、思わぬ方向に話が飛んで、更にそこから広げて行くと意外な解決方法が見つかる事がある。そんなことをこの絵本が教えてくれているように感じる。