求めるものと求められるものとのギャップ感


本稿で述べたいのは、社会的資本(正しい役割を学ぶ人とつながる機会)と、文化的資本(感性を育てる学びの機会)についてである。どちらも目で見えるものではない。しかし、これらは、人の人生を大きく左右し、人生において様々な制約を生む、何なら「格差」のタマゴともいえる生来的な要因なのである。

家庭内で醸成される役割と感性が、子供の将来の方向性を決めるという指摘は確かにその通りだと感じている。人は馴染んだ世界や同じ考え方や感じ方を持つ人々と寄り集い、異なる世界とは距離をおきがち。断捨離はなかなか困難。結果、子供時代に過ごした大人達がこの世から去った後も、その時に身につけた「空気」を背負い続ける、良くも悪くも。将来、何を求めているのかを見定めた上で、「大人」から引き継がれた「子」へのアセットを、時にリセットする場合もあるだろう、覚悟を持って。