初めての学校。真新しい黄色いランドセルを背負って、胸ふくらませ、手を引かれて通う新一年生。どのような思いでいるのだろうか。大人になってみれば、忘れ去ってしまって具体的な事は覚えていないが、とにかくワクワクして行った事は記憶に残っている。
この「くんちゃんのはじめてのがっこう」では、くんちゃんが初めて通う学校での初日の様子を描いている。学校までおかあさんに連れられながら、森の道々で出会う動物や昆虫達に学校へ行くお話をして回る、くんちゃん。ようやく着いた学校でおかあさんと離れ、心細くなり、外に出て、窓から授業参観状態。でも何か言いたげそうなくんちゃんの様子を見た先生、質問を投げかけ、答える事ができる。それに自信を持った彼はそのまま教室の中に。楽しい一日を過ごす事ができました。
ランドセルを背負ったその姿はたいてい、初々しく、楽しそう。多くの子供たちが学校に行く事にワクワク感を持っているのではないだろうか。それがいつから花しぼむようになってしまうのだろうか。何があるのだろうか。もっとさかのぼれば、いつもニコニコして周りを癒し続けた乳幼児期、それがいつのまにか、それが成長し、大人になればなるほど、その顔から笑顔がなくなっていく。
大人もかって、子どもだった。結局、子供たちが大人になる「未来」に目を向けようとせず、「今」そして自分達が墓場に入るまでの「近未来」にのみに関心を払い、社会を動かそうとしている「今」の大人達が多いせいではないかと感じざるを得ない。そしてそんな「今」の大人達の後ろ姿を見て、「未来」の大人達もそれを模倣しようとする。「今」の大人達の身の回りの世話をするのは、「未来」の大人達である。お金がいくらあろうと、ベッドの上では全く役立たない。その事を「自己中」に動いている「今」の大人達は本当に理解しているのだろうか。
夢。これが自由に描ける社会。組織ではなく、個人が自分らしさを追求できる社会。そんな方向に向かう社会を創り上げる事が、「今」の大人達からの、「未来」の大人達へのプレゼントであろうと思う。